1615人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
少々急ぎ足で部屋へ戻っていたところ、突然背後から呼び止められてしまった。
「これは、義姉上ではありませんか」
その声にどきりとして、リエルは立ち止まった。
振り向くとそこにいたのは、アランの弟であるユリウスだ。
リエルに苦い記憶がよみがえる。
それは血まみれで倒れるユリウスの姿だ。
回帰前、処刑される直前のことだった。ともにお茶を飲んでいたユリウスがいきなり吐血して倒れたのだ。
ユリウスは瞬く間に顔面蒼白になり、アランとノエラが駆けつけてきたときには絶命していた。
何が起こったのかリエルにはわからなかった。
ただ、彼と同じ紅茶を飲んだリエルには何の症状もなかった。
状況的にリエルが犯人とされてしまったのだ。
笑顔のユリウスを見ていると、リエルは急激に回帰前の記憶がよみがえって眩暈がした。
最初のコメントを投稿しよう!