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ユリウスの背後にはふたりの護衛騎士がいる。
リエルは少し考えてからユリウスに返事をした。
「では、お願いしてもよろしいですか?」
「はい。ゆっくり歩きましょう」
ユリウスはリエルの体調を気遣って歩幅を合わせてくれる。
そんな彼に嘘をついて心苦しいが、これはいい機会だ。
(ユリウスには申しわけないけれど、利用させていただくわ)
今、部屋へ戻ると盗みを働いた使用人がいるはずだ。
そこにユリウスとともに鉢合わせすれば、使用人はどんな言い逃れもできない。
リエルがユリウスと宮殿内を歩いていると、まさかの事態が起こった。
前方からアランが侍従と護衛騎士を連れて歩いてくるのだ。
リエルは驚き、唇を噛んだ。
(こんなときにアランと鉢合わせてしまうなんて)
お互いに足を止め、向かい合う形になる。
アランはリエルとユリウスが一緒にいるのを見て、眉をひそめた。
「なぜ、俺の婚約者とユリウスが一緒にいる?」
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