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面倒なことになってしまった。
どう答えるべきか思いあぐねていると、代わりにユリウスが答えてくれた。
「義姉上の体調が優れないようなので、お部屋までお送りしているところです」
笑顔で正直に答えるユリウスに対し、アランは不機嫌な表情になる。
アランはリエルに顔を向けた。本当に体調不良なのか確認しているようだ。
リエルはただ真顔でアランを見つめる。
すると、アランはとんでもないことを言い出した。
「わかった。では俺が部屋まで送ろう」
リエルは驚き、目を見開いた。
そしてユリウスは少しの間のあと、渋々了承した。
「そうですね。兄上がそばにおられるのが一番いいですね」
ユリウスは拍子抜けしたように苦笑する。
もう少しリエルと話したかったのだろうが、夫となる兄を差し置いて自分が部屋まで送るわけにはいかない。
「行くぞ」
アランはリエルにそう言ってくるりと来た道を戻る。
リエルは少し距離を置いてアランの背後について行った。
ユリウスはふたりにぺこりとお辞儀をして立ち去った。
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