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アランの意味不明な言い分にリエルは驚いたが、言いわけをしても無駄なので何も言わない。するとアランはまるで確信しているかのように堂々と言い放つ。
「君はあの使用人を利用して俺に恥をかかせようとしたのだろう?」
リエルは少々怒りがわいた。
アランは自分の立場が不利になったからリエルに責任転嫁しているのだ。しかしこれは回帰前と変わらない。彼はいつもそうだった。
リエルは彼を睨むように見据えた。
今まではこのようなことがあるたびに必死でアランに誤解だと訴えていた。
アランは弱いリエルが自分に頼ってくることに陶酔するタイプだ。
まったく馬鹿げている。
リエルはふっと笑みをこぼし、冷静に言い放つ。
「なぜ婚約者の私が夫となる殿下を恥さらしにしましょうか。夫の恥は妻の恥でございます」
「そうやって淑女を演じても化けの皮はすぐに剥がれるぞ」
「それはどうでしょうか」
リエルは余裕の笑みを向けた。
それに対するアランは焦りが顔に滲み出ている。
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