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リエルは背後の衛兵たちにぶつかり、床に崩れ落ちた。
衛兵のひとりがリエルの髪を引っ掴み、無理やり顔を上げさせる。
リエルの視線の先にはアランの激怒する顔があった。
「今までよくも俺を騙してくれたな。不貞だけでなく気に入らない相手を暗殺など、お前は王太子妃としてこの国の恥だ!」
リエルはどきりとした。
不貞などしていない。しかし、なぜかそのような事態に陥ってしまったのだ。
それは異国のパーティにアランと出席したときのこと。
パーティ会場で酒を飲んだあと気持ち悪くなり、気づいたらベッドの上にいた。しかも数人の男たちも一緒にだ。
そして、偶然それをアランに目撃されてしまった。
「殿下……あれは私の意思ではありません……殿下以外の殿方とそのようなことは……」
涙目で訴えるも、アランはさらに感情を高ぶらせた。
「まだ言うか! 俺だけじゃない。あの場にいた者たち全員が実際に目にしたことだ」
「ううっ、殿下……お許しを」
言いわけなどできない。現実に起こったことだから。
リエルが泣きながら身体を起こすと怒りで我を忘れたアランに再び蹴りつけられた。
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