6、仕組まれた罠

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「あら、リエルじゃない!」  その声に反応し、顔を上げると、ノエラがまぶしい笑顔を振りまきながら近づいてきた。  ここは王太子と妃が暮らす宮殿。ノエラは離れの宮殿にいるはずなのに、なぜここにいるのかと問い詰めたいが、おそらくアランが許したのだろう。 「お茶をするならあたしも呼んでくれればいいのに」  まったく遠慮する様子のないノエラに、リエルは呆れ顔で訊ねる。 「ノエラ、あなた、ずっと王宮にいるの?」 「うふふ。殿下が特別に滞在してもいいって言ってくださったの。これもリエルのためよ。あなたがひとりぼっちだと寂しいと思って」  満面の笑みを向けるノエラに対し、リエルは涼しい顔で彼女を見つめる。 「殿下は本当に噂通りの素晴らしいお方だわ。誠実だしお優しいし、あなたは幸せ者ね」 「そうね」  リエルはふっと苦笑する。 (回帰前は本気でそう思っていたわ)
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