6、仕組まれた罠

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 リエルはおもむろに立ち上がり、にっこりと笑った。 「これから仕事があるの。先に失礼するわね」 「大変ね、王太子妃になるって」 「そう、大変なのよ」  リエルは余裕の表情でそう言って、エマとともに立ち去る。  その場に残されたノエラはしばらく笑っていたが、やがて真顔になった。  しばらくノエラは沈黙のまま突っ立っていたが、やがて周囲に人がいないことを確認すると、テーブルの上のナプキンを引っ掴んだ。  その拍子にカップが落下し、割れてしまった。  ノエラはそんなことにお構いなく、ナプキンを地面に落として足で踏んづけた。 「何よ! 何なのよ、あの余裕は! てっきり泣きついてくると思ったのに!」  ノエラは叫びながらぐしゃぐしゃとナプキンを踏みつける。 「リエルのくせに余裕ぶってんじゃないわよ!」  ギリギリと歯を食いしばりながら宙を睨みつける。 「以前は少し変な噂が出回るだけで落ち込んでいた子が……!」
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