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リエルはおもむろに立ち上がり、にっこりと笑った。
「これから仕事があるの。先に失礼するわね」
「大変ね、王太子妃になるって」
「そう、大変なのよ」
リエルは余裕の表情でそう言って、エマとともに立ち去る。
その場に残されたノエラはしばらく笑っていたが、やがて真顔になった。
しばらくノエラは沈黙のまま突っ立っていたが、やがて周囲に人がいないことを確認すると、テーブルの上のナプキンを引っ掴んだ。
その拍子にカップが落下し、割れてしまった。
ノエラはそんなことにお構いなく、ナプキンを地面に落として足で踏んづけた。
「何よ! 何なのよ、あの余裕は! てっきり泣きついてくると思ったのに!」
ノエラは叫びながらぐしゃぐしゃとナプキンを踏みつける。
「リエルのくせに余裕ぶってんじゃないわよ!」
ギリギリと歯を食いしばりながら宙を睨みつける。
「以前は少し変な噂が出回るだけで落ち込んでいた子が……!」
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