6、仕組まれた罠

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 バシャッとドレスに水がかかった。  突然のことで何が起こったのか一瞬わからなかったものの、目の前でからんとバケツが転がり、ドレスがじわじわ汚れていくのを見た。 「まあ、汚らしい。でもお似合いじゃない?」 「ほんとね。大嘘つきのニセ妃にはお似合いだわ」  床が水浸しの状態で、近くに使用人たちが数人立ってクスクス笑っている。 「な、なんということを……!」  エマが怒りの形相で抗議しようとしたが、リエルはすぐさま制止した。 (この格好で表に出るわけにはいかないわ。もう急ぐこともないわね)  諦めにも似た感情。しかし、このまま黙って去るつもりは毛頭ない。  リエルは冷静に呼吸を整えて、静かにゆっくりと使用人たちへ近づいていった。  笑っていた使用人たちは急に顔を強張らせる。 「こ、こっちに来るわ……!」 「な、何よ……私たちは本当のことを言っただけよ」  リエルはニセ妃と言った使用人に向かって手を振り上げ、勢いよく引っ叩いた。
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