1、夫と親友に殺された日

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「え……ノエ、ラ……?」  なぜ笑っているのか、リエルには理解できない。  それともこれは幻覚だろうか。  意識が薄れる中、ノエラの言葉が妙に鮮明に聞こえた。 「あなたが重罪を犯したとしても、あたしは一生あなたのことを忘れないわ」  ノエラはたしかに泣いている。  だが、リエルにだけ見えるように、笑っているのだ。  驚愕のあまり目を見開くリエルのそばで、ノエラがささやくように言った。 「大丈夫よ。安心して。あたしがあなたの代わりになってあげる」  どくんっと鼓動が鳴る。  ぎょろりとした目で口角を上げるノエラの表情は、普段の可愛らしさの欠片もない。 「今までありがとう。あたしの親友リエル。これで、あたしが未来の王妃よ」  リエルを冷たく見下ろしながら笑みを浮かべるノエラの顔は、まるで悪魔のようだ。 (どういうこと? どうしてノエラが?)  リエルはもう、声を出すことができなかった。
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