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エピローグ
「で、辺境伯に近付き内部調査をしていたセクト殿下は騙すなら身内からって事でお咎め無し。竜が領地に現れ恐れおののいた辺境伯は自首。……まぁ誰もその竜がグレン殿下だとは思わないでしょうね。そしてめでたくユキノはハッピーエンドを迎えたと」
あの事件から三ヶ月。
やっと国内が落ち着き、ナーシャをお茶会へと招待することが出来た。
全てが片付き肩の荷が下りた私の心のように空は澄み渡り、絶好のお茶会日和だ。
「まさか辺境伯が奴隷や違法薬物にも手を出していたとは思わなかった」
ハッピーエンドには突っ込まず、前者の返答だけを返す。
繋がりのあったのがヒルダの実家だったのも予想外だ。
実家が取り潰しになったヒルダは貴族ではなくなったが、シエロニアは能力さえあれば平民でも関係なく仕事に就ける。
遠目に見えたヒルダの姿に温かい気持ちに包まれた。
彼女は私の命令通り、見習い侍女からやり直している最中だ。
「あれが貴女のお気に入りね。本当、情け深いこと」
「私らしいでしょ?」
「ふふ。そうね。って、話を逸らさないで頂戴」
「えぇ……。ナーシャちゃんから振ってきた話題だよ」
「あら、そうだったかしら? ユキノが名残惜しそうに見ているから気になったの」
よく見ている。
彼女の言葉に苦笑するしかない。
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