エピローグ

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 唐突な言葉にゲホゲホとむせ返った。  茶菓子が気管に詰まるかと思った。  温かい紅茶に口をつけ、喉を潤してから返答をする。 「もー! いきなり何?」 「ごめんごめん。でも、あのグレン殿下よ? ヤンデレ監禁陵辱ルートの」  やっぱりか。という気持ちと、よかった。という安心が入り交じる。  私の反応に首を傾げたナーシャの真っ赤な髪が揺れる。 「なによ、その反応。気になるじゃない」 「いや、ね? 見ての通り監禁なんてしてないし、りょ、陵辱だってされてないのね?」 「えぇ。そうね」 「だから、キャラが変わったんじゃないかって思うの。私、すごく愛されてる自覚あるもの」 「なぁに? 惚気ぇ?」 「ちっ違くないけど、違うの! でね、隠しルートのグレンってどんなキャラだったのか気になって」  私の言葉にナーシャは考え込んでしまった。  考え込まなければならない話を振ってしまっただろうか。  彼女の返事を待つために、もう一つ茶菓子をつまむ。  赤い髪が風に攫われるのを眺めながらふと気になった事を呟いた。 「そういえば、ナーシャちゃんの見た目って、すっごく悪役令嬢って感じだよね」 「えぇ、悪役令嬢だもの」  は? 今、なんて?  言葉も出ず固まった私を無視してペラペラと喋り始める。
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