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「実はね、あのエロゲー続編が出たのよ。なんだかんだ人気が出てさ。それで、続編に出てくる悪役令嬢が私ってわけ」
ドヤッと胸を張って威張るナーシャ。豊満な胸がますます強調される。
「いや、威張ることじゃない……」
「でももうシナリオ終わったでしょう?」
「? どういうこと?」
「セクト殿下が暴走して辺境伯と手を組むっていうシナリオが終わったから、続編終了よ。続編のグレン殿下ルート見事攻略〜パチパチ〜」
やる気のない拍手をしたナーシャに、思考が完全に停止する。
出てくるのは意味のない言葉ばかりだ。
「……へ?」
いつの間にか続編に突入していて?
いつの間にか続編グレンルート終了?
いや、そんな馬鹿な。
え、嘘でしょ?
困惑を隠せない私を見て、ナーシャは笑った。
「時期がだいぶズレているし、確信はあまりないのだけれど、きっともう大丈夫よ」
「なにが、大丈夫なの?」
「敷かれたレールはここでおしまい。ってことよ」
優しい顔で言われ、どう答えようかと視線を彷徨わせる。
「えっとね、今までも、決められた物語だと思っていたのね」
「ユキノが考えそうなことね。それで?」
「でも、ナーシャちゃんに教えてもらった隠しルートのグレンはもっと残酷で、私の気持ちなんて無視するような人間だったと思うの」
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