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01.ハロー異世界。グッバイ平穏。
話は私がそれに気が付いた時まで遡る。
自我がはっきりとした頃。
鏡に映る自分の姿に既視感を覚えた。
私ってこんな顔だったかしら?
腰まであるウェーブがかった雪色の髪。
アメジストを埋め込んだかのような紫紺の瞳。
鏡に映る自分は、誰もが絶世の美女に育つだろうと囁くほど整った容姿をしていた。
それなのに何故、自分のものとは思えないのだろう。
そんな違和感を抱えたまま私――ユキノ・フォン・グレード――はノヴェル学園へと入学した。
そこで初めて違和感の正体に気が付いたのだ。
この世界はエロゲの世界であると!
◇◆◇
やばいやばいやばい!!
肢体に絡みついた緑の触手が身体の自由を奪う。
ぬるぬると這い回る気持ちの悪い感覚に、涙が出る。
これ、エロゲじゃん! 私、完全無欠の主人公じゃん! なんで今まで気付かなかったの私!! ってか私いつ死んだの!?
入学早々、学園の裏庭に来たのが悪かった。
裏庭に群生する緑の触手に捕まってしまった。
身体を弄ばれながら考える事ではないとわかっているが、どうしても思わざる得ない。
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