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もちろん身体能力向上の魔法を自身にかけることも忘れない。
「〜っ!?!?!?!?!??!」
声にならない声を上げ、のたうち回るレオンを放置し、私は体育倉庫を出た。
数歩進んだところで、後ろから声をかけられる。
「クククッえげつない事するね、君」
振り向けば、そこには高身長のイケメンが笑顔で立っていた。
この世界はイケメンしか存在しないわけ? でもこんなイケメン攻略対象に居なかった気がするけど……。
カラスの濡羽のような艷やかな黒髪。
オニキスのような黒色の瞳。
整い過ぎた顔立ちは暴力的なまでに美しく、呼吸すらも忘れてしまいそうだ。
制服の上からでもその体躯が鍛えられている事がわかる。
日本人なその見た目は、東の大国シエロニアの特徴だ。
シエロニアからの留学生よね……?
デビュタント以外の社交界を全て欠席している私には、彼が誰なのか分からない。
いい男だわ。
顔も、体つきも、声も、全てが私好みでお近づきになりたいという欲が湧く。
しかし、私は王子の婚約者だ。
異性と仲良くしすぎると、不貞という烙印を押され断罪(処刑)されてしまう。
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