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「覗き見ですか? 良いご趣味ですね」
「覗き見の趣味はないんだけど……。ねぇ、君の名前を聞いてもいいかい?」
「どうして此処にいるのか教えてくれたら、考えてもいいですよ」
「そうきたか。うーん、あの色狂いに手を引かれている所を発見したから、かな?」
レオンはもう色狂いの称号を貰っているのか。
つまり、色々な令嬢としっぽりヤッてくれてるわけで……。
あんの節操なし。
王族とはいえ、婚約者がいる身でヤりまくるのはどうかと思う。
「つまり、私がアレに襲われるかもしれないと危惧して覗き見をしていた……と」
「覗き見は不可抗力ね。仮にも自国の王子をアレ扱いとは、聞かれたら不敬罪だよ? というか、名前を教えてはくれないの?」
優しく微笑まれ、誘惑に釣られて出かかった自身の名をグッと堪える。
でも、ヒントぐらいなら……いいわよね。
彼が知っていれば次会った際には名前で呼ばれるだろうし、そうでなかった場合はその時だ。
頭の悪い男に興味はない。
「大丈夫ですよ。私、アレの婚約者なので」
一瞬、ほんの一瞬だけ見開かれる黒色の瞳。
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