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 自分が女子なのだと気付いてしまった私は、矢口の回りにいる素直で可愛い女子と比べられるのが怖くて、矢口のそばに近づけなくなった。 「河合、最近なんで腕相撲せんとや?」 「もう六年やし、腕相撲なんかせん」 「けっ。誰かさんに見てもらいたいっちゃろーけど、全然似合ってなかけん、そのスカート」  中川が面白くなさげに言った言葉に胸がちくんと痛んだ。  言われなくても分かっとう。スカートなんか似合わない。  それでも、男子に混じって、男子と勘違いされるのは嫌だ。 「らしくねえ」  中川の言葉はまた私の心の奥深くに刺さった。  私らしさってなん?  恋愛対象にならないような私らしさなんていらん。  そう思う一方でどこか虚しさも覚えた。  やっぱり今までの私じゃだめなんだ。  かわいくなって、矢口に釣り合うような女子になりたか。矢口の恋愛対象になりたか!  私は他の女子を真似するようにして、女の子らしくなるのに必死になった。
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