小学生時代の白髪

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小学生時代の白髪

私は、小学校高学年までアトピー性皮膚炎だった。今も肌が弱いのは変わらないが、アトピーは無くなった。 アトピーが出ていた時も、体中ではなく、関節と首だけだった。 ただ、とにかく痒い。掻きむしるので、傷が出来、血が滲むが、それでもとにかく痒い。 自分の意思に関係なく、搔いてしまうので、寝る時は軟膏を塗った包帯を巻くこともあった。 アトピーの治療にはステロイドが入ったかゆみ止めを塗る。広範囲には塗らず、酷く掻きむしって血が滲んでいるところに、部分的に塗るのがポイントだ。そう、皮膚科の医者に言われていた。 親から、この塗り薬のせいだと言われていたが、私は小学生の頃から白髪があった。 私の小学校では毎週月曜日の朝、校庭で全校集会があった。各学年、クラスごとに背の順に一列に並び校長先生の話を聞く。 その最中に後ろからヒソヒソと笑い声が聞こえた。 「あれ、見えるか?絶対そうだろ。」 「えっ、俺ら何歳だよ〜」 「汚ねぇ」 話題は私の白髪だ。 今なら、「そんなに私の事を話してくれてありがとう」と思えるのだが、小学生の私には辛い出来事だった。 ちらっと後ろを振り返ると、 「イヒヒヒ」 と笑われた。 私は静かに泣いた。 全校集会が終わり、列のまま教室まで帰る途中、担任の先生が気づいたのか、声をかけてきた。しかし、言葉が出てこず、黙って教室まで向かった。 それからは、毎朝親に白髪チェックをしてもらってから学校へ行った。 髪を結んでもらってから、分け目に白髪か無いかを確認してもらうのだ。見つけたら必ず抜いてもらった。 白髪は生えていない、ということにしたかった。だって笑われるし、汚いと言われてイジメられるかもしれない。そんなの絶対に嫌だった。 私と同じようにアトピーも白髪もある子がいたが、その子の周りには誰もいなかった。申し訳ないが、そうはなりたくなかった。 小学生の私には、個性や自分らしさ何て要らず、人の輪に居ることが大切だった。 白髪なんていらなかった。
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