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中学時代の白髪
中学は親の方針で、私立の中高一貫校を受験した。
第一志望校がどの学校だったのか、なんて覚えていないし、果たして自分で選んだのかも分からない。それでも、私立に入学する、ということが、誇らしかった。
中学一年生で一緒のクラスになった子に、白髪が生えている女子がいた。笑顔が可愛くて、元気な子だったが髪の毛に数本の白髪かあった。
男子からは、
「お前白髪生えてるな〜」
と、からかわれていたが、その子は
「私の個性だからね〜」
と答えていた。
その姿が格好良くて、晴れ晴れしくて、羨ましかった。
私もそんな風に考えられたら、小学生のあの時、泣かなかったのかもしれない。
もっと自分に自信があれば打ち勝てたのかもしれない。
あの時は、アトピーである事が恥ずかしくて嫌いだった。もちろん、アトピーで良かった事なんて一つもない。痒いし、首に巻いた包帯は患部とくっつくし、アトピーだった関節部分や首周りは黒ずんでしまった。
その上、小学生なのに白髪が生えていたのだ。
コンプレックスがあったから?
だから自分に自信が持てなかったのか?
違う、個性なんて要らなかったのだ。
中高はとても楽しくて充実していた。
小学校とは比べ物にならないくらい、世界が広がった。そんな中で、私の顔は大して可愛くない部類なんだと認識をしたが、そんな事は楽しさが打ち消してくれた。
それでも白髪は生えなかった。
後から聞いた話だが、白髪があったその女子の両親が中学二年生の時に離婚したらしい。
その話を聞いた時、
「やっぱり白髪なんて要らない。白髪がるのは可哀想なんだ。」
と、思った。
中学生の時は、白髪を気にしなかったからか、毎朝見つけたりしなかった。髪を染めていなかったが、白髪は見えなかった。その代わり新しい環境が、慌ただしく過ぎていった。
あっと言う間の3年間だった。
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