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高校時代の白髪
中高一貫校に通っていた私は、高校受験を経験していない。
そのせいか、大学受験は大変だった。
それまで経験したことのない戦いだったと思う。
まず、同じ受験生として戦う人数だ。中高の定期考査とは異なり、全国の受験生と戦わなくてはならない。そこが中高一貫校に通っていた私には大きな壁となった。簡単に成績が上がらず、親から怒られたが、どうしていいか分からなかった。
大学受験を視野に入れたクラス替えが、高校二年生になるときに行われた。その時くらいから私は、全国模試でやっと成績を伸ばし始めた。
「何だ、私は出来るんだ。いい大学に行けるかもしれない」
そう信じて疑わなかった。
予備校に通い、受験のために勉強をする日々は辛かったというよりは、淡々と過ぎて行った。定期的に行われる校内模試や全国模試にもやりがいを感じていたし、他の学校の子と話すのも楽しかった。
白髪は気にならなかった。
校則が厳しく、髪染めが禁止されていたが、高校生のときに市販の髪染めを使ったりしていた。ギリギリ分からないように。
白髪が見えなかったのは、そのせいかもしれない。
私が行きたいと思っていた大学は試験内容に面接が含まれていたため、受験前に黒染めをして挑んだ。
黒髪にしたら、何だか幼く見えてしまったが、心が清められた気持ちになった。
「これなら、受かりそうな気がする。」
そう思った。
結局、第一志望校は落ちてしまい、他の大学に行った。
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