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「……なあ、明」
「ん?なぁに?」
「お前、なんで俺なんかとつるんでんの?」
「遼、俺なんかってなに?」
「……ごめん」
明は時々、俺にも読めない表情をする。
仄暗い空気を纏った明は幼馴染の俺でさえ恐怖感を抱くほどだ。
だが、これは俺が俺自身を貶めるような発言をしたときに出てくるもので、きっと明は俺のことを大切にしてくれている。
幼馴染だから。
「……あ、明はさ。俺以外と遊びに行ったりしないの?」
話題を変えようと必死に取り繕った言葉は、少し嫌味に聞こえてしまったかもしれない。
「うん。だって遼が一番だもん」
「……そ」
ケロリとした顔で答える明に、遼はそっけなく返した。
明は本当に俺のことを友達と思っていてくれることが嬉しくて、だがそれを悟られるのは気恥ずかしくて顔をそらしてしまった。
「俺は遼が居ればいい。遼が居れば何も要らない」
「そ、そうか」
明はこうしてたまに妙なことを言う。
まるで恋人と接するような行動と発言。
「明って本当に良いやつだよな。俺、お前と一緒に入れて幸せだよ」
俺は僅かな恐怖心を隠して笑った。
「ほんと?嬉しいなぁ」
そうすると明は本当に心のそこから嬉しそうに笑顔を浮かべた。
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