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3 時間は13時を少し過ぎた。 柿田は新名に店を任せ、カウンターに座る小さな青年を連れて個室に入った。 向かい合って座ったのに、どうにも目が合わない。 「ねぇ…友達に言われたからってさぁ…普通代わりに面接来るかな?」 「…ほ、本当にすみません…」 「いやぁ…謝んなくて良いんだけどさ、履歴書、コレ違う子のでしょ?」 ヒラヒラッと履歴書をはためかせて見せると、青年は手にしていたリュックからおもむろに履歴書をもう一枚取り出した。 「くっ来る前に急いで書いたのでっ!しゃ、写真忘れたんですけどっ!」 柿田はその勢いに面食らった。 「フッ…アハハ、面白いね、君!紙くっしゃくしゃじゃん」 笑いながら青年が出す履歴書を受け取って目を通す。 「…へぇ…名前、ヒナトって言うの?」 「ぁ…はい、宮野雛士(ミヤノヒナト)って言います。」 「…可愛いね」 「か、可愛いですか?」 「ひなってあの雛じゃん」 「そ、そうですけど…」 「ヒナって呼んで良い?」 柿田は青年に微笑みかける。 青年は黙った。 「…め、面接中ですか?」 柿田は一瞬考えた。 あぁ…なるほど。今のだと、短い付き合いなのに、名前の呼び方を確認されたのは確かに違和感があるかも知れない。 「いや、君、採用!明日から来れる?」 柿田のなんとも簡単な決断に雛士は唖然とした。 「で、質問なんだけどさ、どうして友達の代わりに来たの?」 「あぁ…えっと…実はここのコーヒーが以前から好きで…でも、バイト募集出てるなんて知らなくて…友達が今日、急用ができたって言ってきたんです。たまたま代わりに行ってくれって言われて、俺、急いで履歴書を…」 柿田は顎を撫でながら「ほぉ〜」と呟いた。 「じゃ、元々ここで働きたかったってわけだ!」 「あ、はいっ!」 頰を赤らめ嬉しそうに頷く雛士に、柿田はニッコリ微笑んだ。 「ヒナ、明日から宜しくね!」 「は、はいっ!!」
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