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  その魂を管理していたのが北にいる時の使い手である家臣。  二人に接点がないと思っていたのが大間違いだった。  まさか時使いが錦と密談して共謀を企てていたなんて思ってもみなかった。    錦の本体と何故、愛姫に対しあの森であんな真似をしたのかと拷問し尋問した。 「[玉響(たまゆら)]が全て吐いた。蚕蛾を殺して初代の愛姫の魂を呼び寄せて復活させようとしていたとな。しかもあの女とも繋がっていたとは···」  実にくだらない事で娘の生死を脅かされ続けたものだ。  幼い頃から宮で行われていた愛姫に対しての仕打ちは彼女が逃亡するまでの間、青嵐の実母である正妃が隠蔽を続けていた。  正妃だけではなく彼女の母親である第七妃、かなりの数の関係者が隠蔽に加わっていた。  全員粛清したつもりだったが、女だけの園である宮と関わる事の無い錦が裏で糸を引いていたとは予想だに出来なかった。  おかげで大人しかった娘が逃亡し水神と繋がり子を宿して火ノ神に逃がされ挙句の果てに蕃神の力を借りて牙を剥くまでになった。 「···ぃや」  全て宮を正妃達に任せて己が娘を見てこなかったのも原因の一つで自業自得だと言うことも自覚している。  どれだけ悔いてももう遅い。  全て後の祭りでありもう引き返せない。
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