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弐
どのくらいこの洞窟で戦っているのだろうか。
「······腹減らねぇ」
随分この空間にいるのにも関わらず空腹感がない。
ぶっ倒れたまま翠が呟いた。
《いいからさっさと起き上がれ》
殺されたくないなら立てと欠片が翠に刀を振り下ろす。
「休憩挟んでもよくね!?」
知るか。死闘に休憩なんてない。
「孫を思いやる気持ちはねぇのか!?」
遠すぎる子孫に思いやる気持ちなんざ必要ない。
転がりながら欠片の攻撃を回避して起き上がればまた吹っ飛ばされる。
しかし、何度も吹っ飛ばされ続けてわかった事がある。
疲れているはずなのに逆に体力が回復しつつある。
まるで永遠に戦い続ける事が可能なのではないかと錯覚する程に。
《永遠なんて必要ねぇ》
「····そうだね」
そんな事してる暇があるならさっさと白雪を助けに行く。だから····
「確実に強くなるまでもう少し付き合ってよじいちゃん」
《じいちゃん言うな》と、文句を言いながら鬼神の欠片は翠に向かい真空刃を無数に飛ばしてくる。
「強くなるまで付き合って」と言う言葉に欠片はなんだかんだ本当に付き合ってくれている事に感謝した。
確実に強くなるまでもう少しだけ待っていて欲しい。
必ず助けに行くからと、翠は心の中で記憶にある白雪に誓った。
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