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西に散らばっていた仲間を全て焔と西の家臣である草神の胆礬が呼び戻し、東は凱楽によって石化を解かれた家臣達が動き始めた。
「よくぞ無事で····」
「揚葉様····紫様も·····」
石化されていた者の半数以上が無事に解くことが出来たが、そうでない者は灰のように消えていった。
全てが助けられるなんで考えていなかった。しかし···
「貴方達だけでもこうやってまた、顔をあわせられただけでも良かった····」
嘆くよりも喜ぶべきだ。
普通なら全員再会を果たす事は叶わなかったからだ。
「ところで翠様はまだお戻りにならないの?」
紫が揚葉に聞けばなんとも言えない顔をした。
「着いてくるな」
そう言って翠は居場所も告げずに旅に出た。
居場所を知っているのはララと焔だけだ。
「心配すんな。俺の仲間が付き添っている」
「まぁ、ちょっとした里帰りみたいなもんさ」
二人はそう言っていた。
そんな話をして数日後に元老院の元から戻ってきたララが疲れた様子で戻ってきた。
「ジジイの相手は疲れる」
「お前も大概じゃね?」
「まぁ、頭なんだかんだいい年だからな」
近くの木に焔と雷煉を吊るした。
「風美は?」
己の報告の前に風美の事を聞く。
「······ここに」
雅鷹が持ってきたのは両手で持つほどの大きさの箱。
「最後まで頑張ってくれてました」
黄蘭撫子の花弁になるまで風美の手を握っていたのは雅鷹だ。
「·····風美に感謝する」
これで対策ができた。
元老院から聞いた傀儡と呪毒について。
元老の中に北の元君主は居ない。
「全員崩御してるからな」
利権争いの末、子に殺されたり病死したりと短命のものが多い。
何より北の君主で闇使いが現れたのは歴代において少なかった。
だから、詳しい呪毒ついては知るものがいなかった。
しかし、傀儡についての情報を持っている者がいた。
「水の祖父···まぁ、翠の曾祖父さんだな」
「こんなジジイ知らねぇ」翠ならきっとそう言うだろう。
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