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一方で南では····
「本当に良いのか?」
「えぇ····私が今、ここにいる理由はきっとこの為だったんだってそう思うの」
ここに、翠や白雪が居ない事が心残りだった。
ララには既に己の覚悟は伝えた。
「思い出作りとして一発どう?」
速攻で凱楽呼んで正座で説教させた。
「····そんな顔しないでよ」
無理を言うな。
代筆で書かれた風美から焔宛に文が届いた時に「どうしたのだろう?」かと、その内容を読めば駆け付けるに決まっている。
「焔の顔を見れてよかったです」
だから笑って欲しい。
車椅子の上、両手足を拘束され神力封じの札を貼られた風美が笑う。
「むちゃ言うな。花火が居なくなってそんなに経ってねぇんだぞ」
「·····ぅん。そうだね」
もし、ここに花火がいてきっと己の覚悟を聞けば怒ってビンタでもしてくれそうだと少し寂しげに笑う。
怒って罵って····きっと泣いてくれるだろう。
「風美さん。そろそろ····」
千波が風美を促す。
「分かりました」と、言って風美は返事を返した後、焔に笑顔で伝えた。
「私の事、好きになってくれてありがとう」
「··············」
「じゃあ、行ってきます」
風美は焔の気持ちに気付いていた。
あえて返事はしない。
ただ、感謝の意だけは伝えた。
もう振り向かない。
振り向けば笑顔が崩れるから。
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