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「あ~···確かにその日、凄い謝られて「責任とるから!」って言われたけど「別に気にしないでください」って言ったわ」 「······俺、ひー君に同情する」 紛うことなき紳士。 紛うことなき良い奴。 顔半分取られたけど敵じゃなかったら慰めに行っている。 「花火様がいたら薄い本作られてますよ」 風美の車椅子を押している千波の痛恨の一撃。 「あ~。詩雲総受けの話とか作りそう」 「やかましいわ!!」 風美と飛雷の話をしたつもりなのに千波の一言で己が弄られるなんて···と、目から塩水零れそうになる。 「····飛雷のお手付きねぇ」 ちょっと意外。だ、なんて先程から黙っていた雷煉が呟いた、 「いや、だから·····」 そんなのでは無い。 そう否定の言葉を言おうとするその口は封じられた。 「「·········」」 雷煉の口によって。 千波は自らの口を手で覆い驚き、流石の詩雲も空いた口が塞がらない。 暫くしてから唇が離れ、雷煉が一言。 「上乗り」 「···········」 最期の最後で飛雷に牽制する為に口付けをするなんて誰が思っただろうか。 それよりも、風美の事は妹としてしか見ていなかったのではないのかと言いたいことは山ほどある。 「異国ならこう言うスキンシップって言うの?あるんだろ?」 あったとしても頬にキスまでではないだろうか。 「ぷはっ!」 一番意外な人物から接吻されるなんて思わなかった事につぼに入った風美が思わず笑う。 「「「····ッフ···」」」 つられるようにその場にいた全員が笑った。 「あー···笑ったぁ···最後に笑わせてくれてありがとう」 そろそろ執行人が待っているから行くと、風美は言う。 「···必ず白雪を助けて」 自分ではもうどうする事も出来ないから彼らに任せるしかない。 「あぁ」 「絶てぇ助ける」 二人の言葉を聞いて風美はもう思い残すことは無かった。
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