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ある扉の前には青い髪をした執行人が雅鷹と待っていた。
「皆に挨拶は終わったか?」
「···はい」
少し寂しげな声とは対照的に表情は穏やかだ。
「血液の検査では問題かったわ」
だから、己の血を飲んだ白雪が植物に寄生されることはないと説明を受けた風美は安堵した。
白雪が己の様になることは無い。
心底安心して逝ける。
「風美、自らこの提案をしてくれて感謝する」
「いえ、私に出来る事はこのくらいですから·····それに」
ソレの執行人に青嵐を選んでくれてありがとうと風美は礼を言う。
「本当に良いのね」
「はい」
「風美···いえ【撫子】」
撫子。
それが風美の元の名前だった。
無理やり名前を奪い改名した事を青嵐が謝罪をしようとするのを風美が止めた。
「私、姫が付けてくれたこの名前結構気に入ってますよ?」
「·····」
風美がそう言ってくれるのなら何も言うまいと青嵐は頷く。
「私ももう姫でもなんでもないわよ」
「えぇ···そうですね。青嵐」
そう言って二人が顔を見合せてくすりと笑った。
「よろしくお願いします」
「えぇ。貴女のその命も血も無駄にしない」
そして千波と青嵐と共に風美は扉の中へと入って行った。
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