6/11
前へ
/69ページ
次へ
 枯れ木の洞窟では未だに爆音と轟音が響きわたる。 「····ぃ···てぇ···」  散々ぶっ飛ばされボロボロになっても父親譲りの治癒能力で鬼神の欠片相手に持ち堪えられている。  ララとの手合わせの時も容赦なかったが、まだ良心があった。  それに比べてこの欠片は何だ。  完全に殺しにかかってくるではないか。  鬼神ではなく鬼畜の間違いだろうと悪態をつく。  鬼は元々好戦的な性格だ。  それは本能的なものである。  《立て》  欠片に促され、ゆらりと立つ。 「·····ジジイ、絶てぇ秘姫にばっか無理させてだろ!?」  こんな鬼と夜伽なんて鬼畜の極みで身体に負担かかってただろうと勝手に推測。 「しつけぇ男は嫌われるぞ!!····あぁ、だから逃げられたのか」  納得。  《やっかましぃわ!!》  その煽りはわざとなのだろうか。  思った事をそのまま口に出しているだけかもしれない。  《良いから構えろクソガキ!!》 「言われなくてもわーってるよ!!」  電気を纏った砲槍を構えて地面を蹴る。  欠片に向かって攻撃する。  《その程度か?》  心底ガッカリだと欠片が溜息を漏らした。  武器を使うまでもなく砲槍を素手で掴み受け止めた。  《速さも力も弱ぇ》  何より覚悟が足りない。  《死ぬ覚悟が》 「っ死ぬ気なんざ····端からない!!」  そんな覚悟は必要ない。  必要なのは 「勝つ為の覚悟だろ!!」  それしか必要ないと翠は叫ぶ。  《·····じゃあ》  死ぬ気で向かってこい。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加