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助言なんてしてやるつもりはもうない。初めてここに来た時の助言が最初で最後だった。
それは翠本人も理解している。
自分で気付くしかない。
洞窟内の湿度を高め、電流をながし、逆に極限まで高めた熱にマイナスの冷気を与え水蒸気爆発を起こし、鋭利な氷の
矢を作り出して突風を吹かせて欠片に襲わせ、己自身が着火剤となり砲撃を与える。
しかし、これでは直ぐに神力が切れてしまうだろう。
---神力ばかりに頼りすぎるな。
ララの言葉を思い出す。
《···何だそれ?》
「石棒」
神力は使わずに取り出したのは相棒である血に染って色落ちしなくなった石棒。
使い過ぎて刺々しい歪な形になったその棒はおどろおどろしい物になっていた。
はっきり言えば女が持つ代物では無い。
《何かすげぇヤバいもん見えてんだけど》
「色んな奴の顔面これで潰してきたからじゃね?」
人の顔に怨みでもあるのだろうか?
石棒からとんでもなく恐ろしい怨霊みたいな者が見える。
はっきり言って鬼神の欠片さえも「気色悪い」と、言う言葉がでた。
「じいちゃんも似た様なもんだろ?死んでるんだし」
《一緒にしないで貰えます?あと、じいちゃん言うな》
強すぎる分、怨霊よりもタチが悪いと思う。
「じいちゃんだろ?私の先祖だもん」
可愛い遠い孫が遊びに来てくれたことに感謝しろと石棒を欠片に向かって振り回す。
振り回される石棒を欠片は受け止めるがこの石棒、何かがおかしい。
明らかに呪いの類の何かを持っている程、衝撃が重たいのだ。
《この石棒····何でできてんだ!?》
「知り合いの岩神の怨念が込められた特注の混合石で出来てる」
原因はソレだ。
この石棒を作った岩神は一体何に対してそんな念を込めたのだろうか。
主に仕事を一切任せ切りにする上司に対してである。
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