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世の理で愛姫は上界に一人しか生まれない。
ここに白雪が存在する限り、新たな愛姫は生まれてこない。
宮にいた時は正妃等に助言をして暗殺等を促していたのに何故かそれが叶わなかった。
最終的に白雪が逃げた事により全ての悪行がバレて彼女達は断罪されてしまった。
幼い頃から暗殺を企てていたのに結局白雪は運が良かったのか死ぬ事はなく、誰かが白雪を護っていたとしか考えられない。
誰が今まで幼かった頃の白雪を密かに護っていたのだろうか。
それが誰かなのか結局分からなかった。
とにかく錦にとっては今世の愛姫の存在が邪魔で仕方なかった。
だから悪神と連絡を取りあって逃げられなくなった愛姫を連れて行ってもらう予定だったが、その前に闇神に気づかれ阻止された。
まさか、芋ずる式に他の悪神達がこぞって北に愛姫を奪いに戦争をしかけてくるのは予想外だったと、錦は反省した。
「···あぁ、そうだ」
闇神が錦を名指す。
随分と長い事を身を隠していたなと。
「君主?それはどう言う·····」
闇神が袖から何かを取り出す。
赤い紐で結ばれた小さな黒い箱に見覚えがあった。
その箱を見た錦の目が見開く。
「··そ、れ····は·····」
「なかなか見つからぬから手こずったぞ」
まさか肉体は既に捨て去って魂を小さな紅玉の中に宿しているなんて思わなかった。
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