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それから俺は吉川黒百合子と付き合うことになった。矢倉音詩が転校してから数日後の話である。告白は吉川黒百合子からだった。
付き合うようになって気がついたのだが、吉川黒百合子はとんでもない女だった。口を開けば誰かの悪口、SNSでも悪口しか書き込まないのだ。自分より容姿が劣った女友達の悪口ならまだしも、俺の友人の悪口までも平気で宣う始末。
口癖は「キモイ」「ウザい」「死ねばいいのに」御里が知れたものだ。
俺はそれを咎めたのだが「ごめーん、あたしって毒舌系キャラで思ったことすぐに言っちゃうんだ。愛嬌だと思って許して? あたしが言う事に腹立っても気にするほうが悪い! むしろ欠点直せ! 出来ないならあたしの視界に入ってくんな!」と、自らを顧みることはなかった。
挙句の果てには浮気をしていた。相手は俺よりハイスペックな奴だ、吉川黒百合子は例によって浮気相手に俺の悪口の言い通しだ。悪口だけならともかく「暴力を振るわれた」「金を貸したのに返してくれない」「あいつに浮気されている」と言う讒言まで重ねていた。
浮気相手が俺にマウントを取りに来たのか、そのやり取りを行ったSNSを俺に見せつけてきた。ハラワタが煮えくり返ったとしか言いようがなかった。
俺はキレて、吉川黒百合子を問い詰めたのだが「顔がいいから付き合ってみたけど、アンタは面白くなかった」と軽く言われ、そのまま別れられてしまった。
会稽之恥の思いで枕を濡らす一方、あんな女と別れることが出来てスッキリした。
運命の赤い糸で繋がってない相手とはうまくいかないのは本当だったようだ。
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