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自転車
「幼稚園の頃、お母さんの自転車の後ろ乗せて貰うの好きだったなー」
「分かるー。速いし色んなもの見えるから楽しいよねー」
「時々お尻痛いんだよね」
「段差で、がたんってなる時ね」
「そうそう」
「ちょっとお尻浮かせると良いんだよ」
「えー。知らなかったー」
そんなことを話している女子三人組の声が聞こえてくる。あー。俺も乗った。おかんの自転車の後ろ。隣に同じ様な自転車が並んで走ると、負けるな! 行け! おかん!! とか、変な競争意識が生まれたりして。
「俺も乗ったなー。自転車の後ろ」
喜田君がふと呟く。
「時々おとんと三人で自転車で出かけたりした」
「俺も」
「おとん、なんか知らないけど遅いんだよね。坂道とかでよくおいてかれてて、俺ずっと後ろ見てた」
「しょうがないよ。電チャリは坂道もすいすいらしいし。俺も乗ってみたいなー。電チャリ。座って坂が上れるらしいよ」
「電チャリじゃない」
「え?」
「おかんが乗ってたの、電チャリじゃない」
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