転落

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 私は黙って見ていた。すると、隣に年老いた鬼が来て。何やらペラペラ閻魔帳を捲って喋っていた。しまいには閻魔様を怒りだした。閻魔様涙目に成っていた。  ははぁーん、3代目だな。よく言うではないか、会社は3代目で潰すと。そうかそうか。 気に入った鬼や、死神だけを回りに集めたせいで、仕事がはかどってないな。 そうか、地獄も変わったなぁ〜。 初めてだけど、と思っていると。 「ふんふん!アッアッ、お前は間違って死んだ。従って帰って良い。だがな問題がある。 お前の死体は既に、火葬済みだ」 と言った。 「えっ?はや!まだ1時間も経ってないでしょ」 と言うと。 「地獄は時間の流れが遅い。もう既に現世では1年経っている。そこでだ、その緊急なので人間には戻れないが、犬や猫なら成れる。 それが嫌なら、地獄見物をやって、死ぬまで居られるが。どうする?」 と聞いてきた。  地獄は殺風景で気持ち悪かった。 後何十年生きるか知らないが、犬でも猫でも可愛い女の子に飼ってもらえば、ウハウハな人生かもなと思い。 「では猫で」 と言った。俺は意識を失った。  気が付くと、おばさんが俺の顔を見ていた。俺は止めておばさん!と思っていると、 「買う!」 と言った。隣の娘が、 「ハイハイ」 と買ってくれた。  うん?まてよ、俺身体が動かないぞ。 声も出ない。よくよく見ると、俺は猫の縫いぐるみだった。  何てコッタイ!しかも口の回りが白い黒猫?だった。 またやりやがったな!3代目! とんでもないスタッフだな! チクショー、もう多分、書類は改ざん又は挿げ替えられて、この件は神様でも知るまい。  ヒー、本当転落人生だわ。だが考えた。 ひょっとしたら、娘にやるのかな。おばさんが自分で可愛がりはしないだろう。縫いぐるみならば女の子だ。  まあ良いか、と思って黙って(喋れない) 連れて行かれると。おっさんが現れ、 「クロー!よく来たな、よしよし!」 と俺を抱きしめた。  何てコッタイ!加齢臭のきついおっさんが 何で縫いぐるみを喜ぶ! 俺は気が遠くなった。  それから俺は何だかんだと、劇団員をやらされている。  まあ良いか。 終わり。 平成30年6月14日初稿 令和5年8月9日加筆修正。
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