しゃっくり

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しゃっくり

 さなが、幼稚園でみんなと遊んでいた時のことです。 「ヒック」  さなの喉が、急に変な音を鳴らしました。  こんなことは、初めてです。  さなは驚きました。  そして、怖くなりました。 「もし、これがわるいびょうきだったら、どうしよう……」  さなは、となりで砂のお城を作っていたゆいちゃんに、この変な音のことを話しました。 「ねえねえゆいちゃん……ヒック……なんだかのどが……ヒック……変な音するよぉ……ヒック」  ゆいちゃんは、手で丸の形を作って、さなに差し出しました。 「え……? なに、これ? ……ひぐっ」  さながたずねると、ゆいちゃんはニコッと笑って言いました。 「おくすり、だよ、さなちゃん! これで、へんなおと、なおるよ!!」  さなはゆいちゃんの手の下に自分の手を添えて、「おくすり」を受け取りました。  そして、ゆっくり口に持っていき、「おくすり」を飲みました。 「んんー!! なんか、きいてるかんじがするよ!! ……ヒック」 「あれ、おくすり、きかなかったね」  ゆいちゃんは、残念そうに言いました。 「もし、これでしんじゃったら、どうしよう……」  さなはもっと、不安になりました。  さなは、どうやったら治るかなぁ、と思って、喉を叩いてみたり、体を揺すってみたりしました。  でも、変な音は時々ひぐっと鳴ります。 「なんで……?」  さなはとても、怖くなりました。  だから、さなは先生に言うことにしました。 「せんせぇ、さなののどが、へんなおとするぅ……」  あれ、とさなは思いました。  全然、あの「ひっく」という音がしないのです。 「どうしたの、さなちゃん?」 「あのね、さっきまで、のどがへんなおとしてたの、ひっくって」 「あぁ〜」  先生はどうやら納得したみたいです。 「さなちゃん、それは“しゃっくり”よ」 「なにそれ、さな、しんじゃうの……?」  さなはおびえながら先生にたずねます。  そんなさなを、先生はニッコリ笑って見つめながら教えてくれます。 「しゃっくりは、おなかがびっくりしてでるの。大丈夫よ、しなないわ」 「なんで、なおったの……?」 「それは、じかんっていうおくすりがなおしてくれたのよ」 「じかんが、おくすりなの……?」  「そうよ」  先生は、さなに教えてくれました。 「じゃあもう、しゃっくり、でない?」  さなはきらきらした目で先生を見つめます。 「いいえ、でるわ」  その言葉を聞いて、さなはがっかりしました。  しゃっくりが出ると、喉が変な感じになるのです。 「でも、」  先生は続けます。 「そのときもまた、じかんがおくすりになるわ。じかんがなおしてくれるの」 「ほんと……!?」  さなはまた笑顔に戻りました。 「ええ、ほんとよ」  先生も笑顔です。 「やったぁ!! ひっく」  どうやら、さなのしゃっくりはまだ治っていなかったようでした。
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