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有原くんの後を追いながらミヤさんのところへ向かうと、人混みがマシになっていた。
「ミヤさーん!」
わたしが声をかけると、ミヤさんは疲れ切った表情のまま、わたし達に頭を下げた。
「お疲れ様です。西野さん有原くん」
「いや、ミヤさんの方がお疲れですよね・・・」
ひとまず休んでもらおうと、わたし達は事務所へとミヤさんを引っ張っていった。
わたし達がする手伝いは、お守りの販売と境内の掃除だった。
お守りの方は、他の巫女さんや神職さんに教えてもらいながら販売を手伝った。
「これ、ください」
お守りの販売に慣れてきたわたしに、例のお守りを買う人が現れた。
「はい!ありが・・・、って松嶋くん!これ買ってくれるの!?」
「だってさ、山瀬さん可愛いし、あんなにずっと一緒にいたら・・・。おい有原!ニヤニヤするな!」
松嶋くんが指差した方を見ると、珍しく有原くんがニヤニヤしながら松嶋くんを見ていた。
そんな嬉しいこともあって、気づけばお祭りの時間は終わっていた。
「お二人共、お疲れ様です。こちら、お茶です」
ミヤさんがねぎらいの言葉をかけながら、ペットボトルのお茶をわたし達に渡してくれた。
「ありがとうございます。・・・でもあのお守り、もう売り切れちゃいましたね。わたし、あれほしかったのに」
余ってないかなという気持ちも含みつつ訊いたが、ミヤさんは首を横に振った。ガッカリしていると、横からあのお守りが出てきた。有原くんが顔を赤くしながら、あげると言った。
「・・・いいの?」
「西野さんだから、渡すんだよ」
「あ、ありがとう・・・」
まさかあのジンクス聞いてなかったわけないよね・・・。受け取ったわたしも顔が赤くなったのは、言うまでもなかった。
そんなわたし達のことをからかうかのように、鈴がガランと鳴った。
〜完~
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