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帰りの会が終わり、教室が一気に騒がしくなる放課後。家の用事などでバタバタと出て行く子が多い中、特に予定のないわたしは、のんびりと帰り支度をしていた。
「バイバイ由奈。また明日!」
「うん、また明日ね!」
足早に帰っていくみんなに挨拶をして、わたしはランドセルを背負う。
「さて、わたしも帰ろ。今日は何しようかなー」
わたしは予定を考えるのが好きなのだが、ほとんどそれが達成されることはない。なぜなら家に帰れば、ママからの宿題しなさい攻撃が始まるから。
言われなくても宿題はするし、頭はいいほうなのに。
ゆっくり歩いて、何となく空を見ると、わたしの視界にブロック塀の上で寝そべる猫を見つけた。
「わぁ、可愛いー」
茶色い毛の猫は、わたしがそっと手を伸ばしても、逃げることなくゴロンと横になったままだ。
しばらく撫でていると、急に猫は立ち上がり、ヒラリとわたしの目の前に降りてきた。そして尻尾を揺らすと歩きだした。数歩歩くと立ち止まり、わたしを見る。
「ん?ついてきてほしいの?」
“ニャオ”と鳴くと、また歩きだした。何かに誘われるような感じで、わたしはワクワクしながらついていった。
細い路地を通り、草むらをかき分けながらついていくと、たどり着いたのは小さな神社。
「こんな所に神社が・・・」
近所にこんな所があったんだと思っていると、猫はその神社の中へ入っていった。
「ま、待って!」
置いていかれるのが怖くなったわたしは、慌てて猫の後を追った。
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