神に導かれ

2/7
前へ
/64ページ
次へ
 帰りの会が終わり、教室が一気に騒がしくなる放課後。家の用事などでバタバタと出て行く子が多い中、特に予定のないわたしは、のんびりと帰り支度をしていた。 「バイバイ由奈(ゆな)。また明日!」 「うん、また明日ね!」  足早に帰っていくみんなに挨拶をして、わたしはランドセルを背負う。 「さて、わたしも帰ろ。今日は何しようかなー」  わたしは予定を考えるのが好きなのだが、ほとんどそれが達成されることはない。なぜなら家に帰れば、ママからの宿題しなさい攻撃が始まるから。  言われなくても宿題はするし、頭はいいほうなのに。  ゆっくり歩いて、何となく空を見ると、わたしの視界にブロック塀の上で寝そべる猫を見つけた。 「わぁ、可愛いー」  茶色い毛の猫は、わたしがそっと手を伸ばしても、逃げることなくゴロンと横になったままだ。  しばらく撫でていると、急に猫は立ち上がり、ヒラリとわたしの目の前に降りてきた。そして尻尾を揺らすと歩きだした。数歩歩くと立ち止まり、わたしを見る。 「ん?ついてきてほしいの?」  “ニャオ”と鳴くと、また歩きだした。何かに誘われるような感じで、わたしはワクワクしながらついていった。  細い路地を通り、草むらをかき分けながらついていくと、たどり着いたのは小さな神社。 「こんな所に神社が・・・」  近所にこんな所があったんだと思っていると、猫はその神社の中へ入っていった。 「ま、待って!」  置いていかれるのが怖くなったわたしは、慌てて猫の後を追った。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加