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神社の中に入ると、すでに誰かが一人来ていた。
「・・・つまり俺は導かれて、ここにたどり着いたというわけですか?」
――そうだ。そしてもう一人も到着のようだな。
その声に、先に来ていた人がこちらを振り向く。そして目を見開いた。
「に、西野さん!?」
「あれ?有原くん?何でここにいるの?」
「・・・それは、こっちのセリフなんだけど」
目を見開いて固まる彼は、有原晃くん。有原くんは周りを寄せつけない空気を出していて、その雰囲気がミステリアスだと一部の女子から人気がある。
わたしはそんな有原くんの隣に立ち、ランドセルを地面に置いた。すると、道案内をした猫が近寄ってきて、クンクンとランドセルの匂いを嗅いだ。
「ごめんね。その中に食べ物は入ってないの」
「分かってますよ」
え?今の声、誰?有原くんの方を見ると、首を横に振られた。有原くんじゃないってことは・・・。
猫に視線を向けると、白いもやのようなものがかかり、現れたのは綺麗な男の人。なぜか着物を着ている。
「わぁ!猫がカッコいいお兄さんになった!」
「何であっさり、この状況受け入れられるんだ・・・」
テンションが上がるわたしとは対照的に、有原くんは呆れていた。
「もう受け入れるしかないでしょ。神様?みたいな声が聞こえるし、目の前で変化を見ちゃったら」
――あっさり受け入れてくれると、説明する手間が省けていい。そなたの言う通り、私はこの神社の神だ。
「そして僕は、神の使いのミヤと申します」
「分かった。よろしくお願いします。神様、ミヤさん」
「マジかよ・・・」
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