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――早速だが、二人を呼び出した理由を説明する。
「待ってください。その話は長くなりますし、ずっと立ちっぱなしなので、ようかんを食べながら話を聞きませんか?」
ようかん!和菓子が好きなわたしはその言葉に食い付き、こじんまりとした建物に向かって歩くミヤさんの後をついて行く。でも、わたしの腕を有原くんが掴んだ。
「待て。まさか西野さん、ついていくわけじゃないよな。怪しい人にはついて行くなって、幼稚園でも習うことだぞ」
――怪しいとは失礼な。私は神ぞよ。
「えぇ。ですが、どうしても信用出来ないのなら、親に連絡できるものを持っているといいでしょう」
「言われなくても、もう持ってる」
有原くんがポケットからスマホを取り出した。学校にスマホの持ち込み禁止だけど!?わたしの心の声が聞こえたかのように、有原くんがわたしを見て言った。
「俺、一回家に帰ってるから」
言われてみれば、有原くんのランドセルが無い。
「西野さんでしたね。あなたも一度家に帰って、スマホを持ってきてください。そうすれば安心でしょう?」
確かに一度帰ったほうがいいかも。時間が遅いと、ママも心配するかもしれないし。
「分かりました。一度帰ります」
わたしはランドセルを背負い、来た道を走った。
「ただいまー」
「おかえり由奈。宿題」
「あとでするから!今は急いでるの!」
ママの言葉を遮り、バタバタと階段を上る。そしてランドセルを置くと、スマホを掴んで階段を駆け下りた。
「行ってきます!」
ママに何か言われる前に、わたしは家を飛び出し、みんなが待つ場所へ急いだ。
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