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時はあっという間に過ぎ、秋祭り当日に。
神社の鳥居の前に集合したわたし達は、見たことのない人の数に圧倒されていた。
「すっごい人・・・。何かあるの?」
「そういえば、特別なお守りがもらえるってチラシに書いてたけど。それ目当てに集まったのかも」
前に、ミヤさんに見せてもらったチラシを思い出しながら、花菜の質問に答えた。
はぐれないように、みんなが誰かの服を掴んで、一列になって進んでいった。
有原くんの服を掴んでいたわたしは、美味しそうなベビーカステラを見つけて、彼の服を引っ張った。
「ねぇねぇ。ベビーカステラ美味しそうじゃない?」
「・・・頑張って買ってこい」
なぜか有原くんにエールを送られた。ベビーカステラの屋台に集まる人混みを見て、びっくりしたのだろう。
そんな時、前を歩く高校生ぐらいの人の会話が聞こえてきた。
「そういえば、ここで渡されてるお守りのジンクス知ってる?」
「え?何それ、知らない」
「噂によると、そのお守りを買って、好きな人に渡したら両思いになれるらしいよ」
「へぇー。めっちゃいいじゃん。それは絶対に買わなきゃ」
そんな会話に、一番前を歩いていた花菜が振り返った。
「ちょっと!今の会話聞いた?」
「聞こえたよ。どうする?買いに行く?」
「これは行くに決まってるでしょ!」
一番前の花菜が動けば、服を掴んでいるわたし達は自然とお守りを売っている場所へと動くこととなった。
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