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夕方。もう少し見て回るという花菜達とは別れ、わたしと有原くんはミヤさんの手伝いへと向かった。
イチョウが満開の道を歩きながら、わたしはニコニコしながら有原くんに話しかけた。
「花菜と松嶋くん、いい感じじゃない?花菜にハンカチ渡された時、ちょっと顔赤くなってたし」
「そうだな。さっきそのことで松嶋に相談された。『山瀬さんのことが気になる』って」
「えっ!?そうなの!?」
二人がコソコソと話していたのは、まさかの恋愛相談だったのだ。
「失礼な言い方だけど、有原くんってそっち系の話相手というか、解決できるの?」
わたしの想像だと、恋愛なんて面倒だ。とか言いそうなタイプだ。
「本当に失礼だな・・・。俺だって、好きな人いるし」
「ええっ!」
わたしが驚くと、有原くんはしまったという顔をして、口元を手で押さえた。
「知らなかった。誰?」
そう訊くと、有原くんは顔を真っ赤にしてわたしをじっと見てきた。だが顔をそらすと、スタスタと先に歩いていった。
「・・・教えない。ほら、さっさとミヤさんのところに行くぞ」
「えぇー。教えてよー!」
と、わたしは走って有原くんの後を追いかけていった。
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