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8 たったひとりの僕の運命
※
小湊に殴られて、僕はもう動けなかった。恐怖が支配しているこの空間で、僕の服ははぎ取られ、下着に手をかけられたその時、急に大きな音とともに人が入ってきた。
「由香里!!」
「楓!? 楓っ!!」
僕のアルファが勢い良く僕を抱きしめた。そして小湊は二人の男に抑えられている。
「かえでぇっ」
「もう大丈夫だ、由香里、もう大丈夫」
楓の力強いフェロモンが僕を包み込み、やっと安心できた。僕の目から涙が止まらない、楓が僕の頬を触って、苦い顔をした。
「こんなに赤くなって、痛かったな」
「……こわ、怖かった」
「大丈夫、俺の番を強姦しようとした男はもう警察に引き渡しているから、心配はないよ」
「け、警察?」
「とにかくここを出よう、由香里についた臭いフェロモンを洗い流したい」
僕は楓の胸に抱えられてそのままホテルを出た。車に乗せられている間、楓は僕の祖母に電話をしているようだった。なんでそうなったのか知らないけれど、楓の僕への執着のお陰で事なきを得たのは確かだった。僕はいまだ震える体を、楓に抱きついて収めようと必死だったから電話のことは今は何も聞く気になれなかった。
楓のマンションに到着すると、すぐに風呂に連れて行かれて全身を洗われた。洗っている最中の楓の顔が怖くて、僕もさっきの出来事での恐怖がいまだ身をこわばらせてしまい、されるままになっていた。
お風呂から出ると、殴られた頬に薬を塗られて、体の隅々を確認された。
「僕、服をはぎ取られただけで、あの人とは何もなかったよ」
「由香里があの男と関係を持ったら、その時点であの男を殺した。そしてお前は一生ここから出さなかった。良かったよ、俺をそんな凶悪犯にしないでくれて」
僕は何も言えなかった。それは冗談でも何でもない、楓の本当の心だと分かったから。楓は出会った頃からヤンデレ要素が強かった。僕が少しでも間違えてしまったら、きっとオメガによくある監禁陵辱コース真っ逆さまなはずだ。
良かった、犯されてなくて……。楓を犯罪者にしなくて本当に良かった。
少しホッとするとそれが気に食わなかったのか、楓が無理やりキスをしてきた。
「んんん、ん」
「由香里、余裕だね。あそこであともう少し遅かったら犯されていたんだ! なんであんな浅はかな行動をした? どうして男とホテルの個室に入れたんだ。もう俺という恋人がいるのに、一人じゃ満足できなかった?」
「ん、ち、違う。話を聞いて!!」
「まずは抱かせろ」
羽織っていただけのガウンを素早く振り落とされた。楓もガウンを豪快に脱ぎ捨てる。楓は怒っていて、アソコも怖いことになっていた。
「やっ、楓、話、話聞いて!!」
「聞かない。まずは由香里の体に俺の匂いを染みつかせる。話はそれからだ」
「う、んん、あああ」
僕にキスをしながら、僕の股間を強く握った。恐怖に慄くも、そこはもういいと思ったのか、後ろに指が入ってきた。まだ何も感じていないから濡れてもいない、それなのに急に入る指を入れまいと後ろが緩まない。
「ふっ、良かった。ここは触られていないんだな」
「触ってない、手を繋いだだけで、他は何も触られてない!!」
「手を……繋いだ、だと?」
「えっ」
なんでまたそこで怒るの!? 僕の身の潔白は証明されたのに、手を繋ぐに反応する!!?
「んんん、ああああ!!」
「早くイケ、由香里の精液で後ろを濡らしてあげるから、出して」
僕のモノを口に咥えて、舐めたり吸ったりとにかくすごい技で僕を翻弄し、あっけなく楓の口に欲望を吐き出した。
「出たな、ああ、でも後ろも今ので濡れたからこれは必要なかったか?」
「あっ、やっ、そんなの見せないで……」
僕の吐き出したモノを楓の口から手にだして、僕に見せてきた。その間も後ろへの指が入り込み、そこは興奮して自らでた愛液で濡れていた、楓の指を今度は簡単に侵入を許した。
楓はずぼずぼと遠慮なく指を抜き差しして、三本挿入った時に自分の手に吐き出した僕の精液を楓の、大きく成長した欲望に擦りつけて数回しごいた。
「あっ」
「いやらしいな、お前の精液を俺のモノに付けて、テロテロになった。これをまたお前の中に戻すんだよ」
僕はその光景を見て、恥ずかしくて真っ赤な顔になったに違いない、でもどこかでもう楓の大きい欲望を早く自分の後孔に埋もれて欲しいと思っていた。
「んン……」
「くっ、まだまだきついな、処女から数日だしな」
ぎちぎちと楓の侵入を今度は許した。楓のが挿入ってくるのに合わせて僕の中が収縮して、ゆっくりゆっくりと奥へと誘う。
「ああ、あっ、あっ、楓」
「由香里、愛してる、もうお前を他の男の目にさらさない」
「ああ、僕も愛してる!! ああああ!!!」
楓のモノが最奥に届いた。それだけで、僕の小さな男根からはダラダラと白濁が垂れてきた。
「動くぞ」
「あ、ああ、んんっ、あ、あ、あ!!」
楓が前後にゆすると僕の中がおかしなくらいキュンキュンとしだした。もう何も考えられない、痛かったはずが今ではもうすっかり気持ちが良くてたまらない。
「あっ、楓っ、きもちいっ、あ、あ」
「っくそっ、出すぞ!!」
「あああッ!!!」
楓が僕の中に吐き出して、キスをした。そして僕は必死に楓に抱きついてキスを返す。後ろは常にぎゅっとなっていて、楓が出したモノを一滴も逃さないというオメガの本能なのか、一ミリも離れないというように、楓を離さなかった。
「楓、好きっ、好きっ、愛してる」
「ああ、俺も由香里を愛してる、くっ、締め付けすぎ、俺を殺す気?」
「あっ、だって、気持ちよくて、」
楓の怒りもいつの間にか収まったのか、そのまま明け方まで何回戦つづいたか分かないけれど、抱かれ続けて僕は幸せしかなかった。
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