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「僕、夢があるの」
「夢?」
「番は結婚してからがいい」
「結婚って、入籍でいい?」
「え……いや、ほら、結婚式の後に盛り上がって番とかさっ」
「普通結婚式の日、それも初夜の時間にタイミングよくヒートはこない。それこそ薬とかの強制発情での番だ」
「あっ、そうじゃなくて、あの」
楓が僕の上からどいて、裸で歩き出した。うしろ姿を見送る、怒ったのかな? 背中もお尻もかっこいい。僕は僕の恋人の裸体をうしろ姿だけどうっとりして見ていた。散々抱かれたけど、楓の全体像を見る暇は今まで一度もなかったから、ちょっと眼福って気持ちが勝った。
楓はなにか紙をもってこっちにやってきた。前、前見えているよ、凄いっ、僕の中に、アレが!? ちょっと鼻血出そうになった。
「どうした? 大丈夫? 顔が赤いよ」
「う、うん。楓の裸に見惚れちゃった」
「もう、俺これから大事なシーンに入るのに」
ふふって楓が笑った。
「ん? 大事なってナニ?」
「これ」
手渡された紙は、婚姻届けだった。びっちりと全てが記入済み、あと空欄なのは僕のサインだけ。
「あ、あの……」
「結婚して番なら、今、番になれるね、サインして」
「えっ」
「由香里、愛している。俺と結婚して番になってください」
楓が裸でプロポーズしてきた。嬉しいっ、嬉しいけど違うよぉぉぉ―――!!
「楓、嬉しいし、オッケーなんだけど、でも僕プロポーズはもっとロマンティックなのがいい!」
「しょうがない、プロポーズは後日やり直すからとりあえずこれにサインしてくれ」
くそっ、騙されなかった。どうしても結婚するみたい。
「結婚もプロポーズの後がいい」
「じゃあ、今しただろ。早く」
「でも」
「由香里、なんでそんなに拒否する態度なの? このまま監禁がいい? 一生おばあさんに会えなくてもいいの?」
「酷い!! そんな言い方しなくても」
「ここまで丁寧に誘導したのに、後悔するなよっ」
丁寧に誘導って、誘導って言った! それこそ酷い言い方。僕はむかってしてぷいってすると、あごを掴まれて無理やりキスされた。
「んんんん」
「ふっ、由香里、香り強くなっているの分かる?」
「ん? ふわっ、あっ、あっ、なんで」
「フェロモン出したから」
僕の体からローズの香りが立ち込めた、そのまえに楓からサンダルウッドの気高い香りがする。サンダルウッドとローズって、やばくない!? この二つが合わさったらもう喧嘩だよ。香りがお互いに強すぎて、そしてお互いの催淫効果が半端ない、誰も近づけない僕たちだけの空間がそこには作り上げられた、なんて迷惑な香りの融合!!
「あっ、あん、どうしよう、あああ」
「ふふ、もうびちゃびちゃ」
「ふわっ、だめっ」
「でも俺の指食いちぎりそうだよ、もっと大きいのが欲しいんでしょ?」
どうしよう、欲しい、欲しいよ。
楓の大きなモノが欲しい、でも挿入ったら最後。僕のうなじはもう首輪が外れているから、噛まれちゃう!! 番になることには抵抗ないけれど、こんな無理やりじゃ嫌だ!! せめて祖母にきちんと二人で挨拶してから順を踏んで進みたかった、僕の希望はそれだけなのに、それも許さず今すぐって横暴すぎる!!
「だめ、絶対だめ。強制的に発情、ダメ……ああっ」
「だめじゃない。もう由香里は挿れないと収まらないよ」
言われた通り収まりそうもない、なら一回挿れるくらいならいいか。
「じゃあ、はやく挿れて」
「くそっ、煽るな」
煽ってないよ、早く挿れてもらって発情を収めて冷静になりたいだけというか、楓が欲しくてたまらなくって待てないだけぇ!!
「あああ!!」
「くっ、由香里、愛してるっ」
「あっ、早い、もっとゆっくり、あ、あ、あああ」
勢いよく楓がきた、凄い初めから激しい、とっても気持ちいいけど、これじゃ意識失っちゃう、だめ、うなじ守らなくちゃ、ダメ、ぜったい!!
「あっ、あ、あ」
「由香里、うなじ、見せて」
うつ伏せにされて、再度激しく突かれた。
「だめぇ、あああ、そこ、そこ、突いて!!」
「くっ、もう出すぞ!!」
「あああ、イイ、楓ぇっ、あ? だめ、なんか出るっぅぅ」
ぶしゅっ、と僕のモノから大量の液体がでた。
「えっ、あっ、なにこれ、どうしよう、あああ、ちょ、ちょっと抜いて」
「ダメ、止まらない、もっと中に、奥に出させて」
「ああ、あっ、だめっ、気持ちいいけど、僕っ、ひっ、ひっく」
楓が僕の異変に気が付いて、挿入したまま僕を背後からのぞき込んだ。僕は泣きながら気持ちよさに酔いしれていた。でも気持ちいいからだけじゃない涙に楓は気が付いた。
「どうした、由香里」
「あっ、抜いて……僕、お漏らし、しちゃった。ごめんなさいっ」
「ああ、大量だな。これはお漏らし……じゃなくて潮だ。まさか抱いて五日目でここまで開発出来るとは、さすが俺のオメガだよ、よっぽど気持ちよかったんだな」
「えっ、おしっこじゃないの? あん! あっ抜いてよぉ」
「抜けないよ、俺のは出し切るまで抜けないようになっている、興奮しすぎたみたいだからしばらく由香里の中に子種を出し切るから、このままだよ」
「でも、すっごく濡れちゃって気持ちわるいっ、あん」
「気持ちイイの間違いだろう?」
そこからアルファのラットが続いてずっと僕の中に楓がいた。そこから僕たちの交わりは止まることがなかった。復活してはまたする。そして、これが最後なんだろうなと上り詰めた瞬間がやってきた。
「あっ、あっ、うう、あ」
「由香里、由香里ぃ!!」
「あん、楓ぇ、気持ち良過ぎておかしくなるぅ」
「おかしくなれよ! 最上級の時に噛むから」
「ああああぁ、ひぃ、それだめぇ」
幾度となく交わる、もうすでにお互いぐちょぐちょで、どうして僕は番になるのを拒絶しているのか分からなかった。こんなに気持ちいし、今うなじを噛まれたら最高に、最高に幸せになれるって気がしてきた。
最後に吐き出す手前、上り詰める一瞬の前。
「噛んで!! ああぁぁぁ、楓、僕を番にして!!」
「由香里、嬉しい!! 噛むぞ」
もうこれが正解だ。
僕はどんな形でも楓と番になりたい、そして楓がぺろっとうなじを一回舐めた。それだけで達しそうになるのを頑張って耐えた。だって噛まれた瞬間、お互い同じタイミングで一緒に最高地点へ行きたいから!!
「楓、好きっ、愛してる」
「由香里、俺は人生でお前だけだ、一生離さない、愛してる」
「あっ!? あああんん!!!」
楓が噛むと同時に僕は、ううん、僕たちは同時に達した。楓は今までにないくらい僕の最奥に全てを吐き出した。細胞が、全てが入れ替わる。
それは人生最高の幸せの瞬間だった。
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