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攫われるように、先ほどまでお見合い相手といたホテルに連れ込まれた。上條先輩は常連らしくすぐに部屋へと案内されて部屋に入った瞬間、ドアが閉まるよりも早く僕にキスをしてきた。
「あっ、ああ、ん」
「可愛い、可愛い、俺の、俺の運命!!」
キスが気持ちいい、とても気持ちいい、したことないわけじゃない。アルファたちとベッドに入ろうとするとき必ずキスはした。でもそのどのキスよりもしっくりくる。何よりも彼から香る逞しい香りが僕の口の中に入り、それを飲み込むとたちまちお腹が熱くなる。
もっと、もっと、もっと欲しい。
「ああ、ベッド連れていくからもう一回抱き上げるね」
「うん、はやくっ」
僕のことなど何も知らないのに、すぐにベッドに持ち込むアルファ。運命の力って凄すぎる。お互いのステータスや情報なんて何一つ知らなくていい。ただ抱き合えばいい。
ベッドにおろされると、僕の服が全てはぎ取られた。体中にキスをされる。恥ずかしさよりも、その先が欲しくて僕の勃ちあがるモノを触られた瞬間、はじけた。
「ふふ、可愛い。キスだけしかしてないのに、もうイっちゃたの?」
「ごめんなさいっ」
「いいよ、嬉しい。名前聞かせて、名前呼んで君を抱きたい」
その間も、僕の肌を堪能する手を止めない。指が後ろに挿入ってきた。
「あ! ゆか、由香里……っ、あん」
「由香里? なんて可愛い名前なんだ」
「上條先輩……もう早くっ、お願い早く抱いて……あああ」
僕の中にある指がクイっとある場所を突いたら、またあっけなくイった。先輩の指はもうぐちょぐちょで僕の淫らな液体の音が耳に響いてくる。
「由香里は俺を知っているの?」
「同じ、大学でっ、今日上條先輩の噂きいたばかりだったから、さっき一緒にいた男の人が上條先輩のこと言っていたから同じ人かなって」
「さっきいた男は、由香里のなに?」
「ああああ!!」
僕の胸の突起を噛んだ!! 痛いけど気持ちがいい。
「あんっ、やっ、噛んじゃ、や」
「言って、さっきの男はなに」
「一人でお茶していたら、声かけられただけ……」
執拗な胸への吸い方が終わった。僕は少しほっとした半面、もっとして欲しいなって思っちゃった。
「ナンパか。由香里、彼氏はいる? いても別れてもらうけど」
「いない、いない!! ああっ、そこに人の指が挿入いるのも初めてっ、あ」
「そうか、それは嬉しい。処女ってことだよね?」
「うん、経験ないから、上手く出来なかったらごめんなさいっ」
「クソっ、なんて可愛いんだよ!!」
上條先輩は自分の服のすべてを脱いだ。お互い裸同士、僕は発情しながらも彼を下から見上げた。逞しい体に逞しい男の象徴、自分のそれとはまるで違う生き物のようだった。ピキピキになっているのを見て怖いと思うよりも、自分でそこまでなっているという事実に嬉しさしかなかった。
「す、すごい」
「それは誰と比べているの?」
「分からない、自分のしか見たことないから、他の人のは分からないけど、でも僕でそうなっているんでしょ、凄くうれしいっ」
「由香里、あまり煽らないで。初めてだから優しくしたいのに」
「上條先輩、はやくっ」
僕にキスをする。余裕が無いのは本当みたい、食べられてしまう、そんなキスの仕方だった。僕は慣れていないから息が上がってしまうけれど、それでも必死に食らいついた。彼の唾液を少しも逃したくない、全てが欲しい、このアルファの全てを自分の中に、自分の血に混ぜたい。そんな良く分からない衝動だけが僕を動かした。
「楓、俺の名前は楓だからそう呼んで」
「か……えで」
「由香里、抱くよ。会ったばかりだけど本能でお互い、分かるよね? 俺は由香里を愛してる、好きだよ、番になろう」
「うん、楓!! 楓!! 僕も好きっ」
その日、僕は運命に抱かれた。幸せしかなかった。
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