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『カナ、今どこにいるっ?』
慌てたような声。
里央の第一声がそれだった。
「っえ?駅前の公園に居る―『わかった。直ぐ行くから居ろよ?』
…あ、里央?」
言い終わる前に言葉を被せて切られてしまった。
そんなに慌ててどうしたんだろう。スマホの画面をつい見つめてしまった。
「電話終わった?」
いつの間にか遼一が側に来ていた。
スマホから目を離し遼一に顔を向ける。
「あ、うん。終わった。―――えっ?」
ガシッと正面から抱き締められて、戸惑い遼一の顔を見上げる。
「なぁ、さっきの続きだけど。
あんなヤツと別れろよ。
俺と付き合って欲しい。友達じゃなく、恋人として」
ギュッと遼一の腕に力が入った。
「りょ…」
まさかそんな事を言われるなんて思わなかった。じわりと頬が熱くなったのは一瞬だけ。
抱き締められているその手を振り払おうと藻掻いた。が、離れない。
「遼、遼一 離して!やだ、離してっ………っ!」
顎を上げられ見上げた瞬間、唇が重なった。顔を逸らそうとしたが、頭を押さえられ、腰を抱き寄せられ身動きができない。
僕が両手で遼一の体を叩いたり、押したりしてもビクともしない。
遼一の舌が歯列をなぞる。
「んっ!やめっ、んっ…!」
ビクリとして口を開いた隙に舌が口内を攻め立てる。僕の舌を絡め取る。
半分パニック状態になってしまった。
イヤだ!里央助けて!
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