奏多 side

4/6
前へ
/38ページ
次へ
『カナ、今どこにいるっ?』 慌てたような声。 里央の第一声がそれだった。 「っえ?駅前の公園に居る―『わかった。直ぐ行くから居ろよ?』 …あ、里央?」 言い終わる前に言葉を被せて切られてしまった。 そんなに慌ててどうしたんだろう。スマホの画面をつい見つめてしまった。 「電話終わった?」 いつの間にか遼一が側に来ていた。 スマホから目を離し遼一に顔を向ける。 「あ、うん。終わった。―――えっ?」 ガシッと正面から抱き締められて、戸惑い遼一の顔を見上げる。 「なぁ、さっきの続きだけど。 あんなヤツと別れろよ。 俺と付き合って欲しい。友達じゃなく、恋人として」 ギュッと遼一の腕に力が入った。 「りょ…」 まさかそんな事を言われるなんて思わなかった。じわりと頬が熱くなったのは一瞬だけ。 抱き締められているその手を振り払おうと藻掻いた。が、離れない。 「遼、遼一 離して!やだ、離してっ………っ!」 顎を上げられ見上げた瞬間、唇が重なった。顔を逸らそうとしたが、頭を押さえられ、腰を抱き寄せられ身動きができない。 僕が両手で遼一の体を叩いたり、押したりしてもビクともしない。 遼一の舌が歯列をなぞる。 「んっ!やめっ、んっ…!」 ビクリとして口を開いた隙に舌が口内を攻め立てる。僕の舌を絡め取る。 半分パニック状態になってしまった。 イヤだ!里央助けて!
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

308人が本棚に入れています
本棚に追加