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あの3人の話本当なんだろうか。
里央には長い間 付き合っていた彼女がいたんだね…。
そうか―――…。
この3ヶ月ずっと、週末は彼女と一緒に過ごしていだろうなぁ。
平日はずっと僕と一緒だった。
性処理…
性欲の解消の相手に
何故 僕を選んだんだろう…。
何故 僕だったんだろう――…。
なんとなく解っていたけど、セフレだなんて思われて、周りに言っていた事に少しだけ怒りを覚えた。
だけど―――
優しくカナと呼ばれるのが好きだった。
笑いかけられ、その笑顔が好きだった。
それは、遼一に呼ばれているように思えたから…。
遼一に似ていたから…。
僕だって忘れる為に里央を利用したから、それは お互い様なんだけど…。
歩道の真ん中で立ち竦む僕。
邪魔になるから避けなきゃと思いつつ、何も言わず俯いた僕の肩を揺さぶりながら、遼一は声をかけてくれた。
「大丈夫か?なぁ、今のって……」
俯いている僕を心配してくれているのだろう事はわかっている。
だって里央との事を遼一は知っているから。
さっきの会話は里央の事だと遼一もきっとわかってる。
里央と付き合い出して暫くしてから遼一から
「あの人、カレシなの?」
と聞かれた。
「……うん。」と、
聞かれたから素直に頷いた。
「…そう、わかった」
そう言った遼一の顔は眉間にシワを寄せていたから、嫌悪の表情に見えた。
やっぱり友達としても、男同士はイヤなんだな。とわかってから、なるべく遼一と関わらないようにしていた。
「大丈夫だよ…。あ、ほらコンビニ行こ?……、ね?」
引き攣った笑顔だったと思う。
今はこれが限界だから仕方ない。
「あ、…ああ」
コンビニに行く間も、コンビニから出ても気不味い沈黙が続いている。
僕から何か話た方がいいのかな。でも、何を話せば良いのかわからない。
「なあ―――…」
沈黙を破ったのは遼一だった。
僕は遼一を見上げる。
遼一は真剣な目をして僕に向き直し、
「話たいことがあるから、俺に時間くれよ。いいだろう?」
そう言って僕の左手の手首を掴んで有無を言わさずスタスタと歩く。
遼一に手首を引かれながら僕は後ろをただ歩いた―――…。
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