308人が本棚に入れています
本棚に追加
「気を付けて行ってらっしゃい」
先輩が乗るバスを見送り、寮に戻った。
今日は金曜日。
いつものように先輩は自宅に帰り、日曜日の夜に寮に戻る。
先輩は必ず週末は自宅に帰る。
週末には僕から連絡ができない。
家の仕事の手伝いがあるから出られないし電源は切っている。連絡は自分からするから、待っててと言われている。だから、僕は素直に従う。
見送りから戻ると静かな2人部屋。
そうか。僕のルームメイトは自宅に帰ったんだった。
スマホを見るとメッセージがひとつ届いていた。
クラスの友人からだった。
『急遽 皆で集まって遊びに行く事になった。奏多もたまには来いよ』
場所も添付されていた。先輩も居ないし僕も自宅に帰えろう。それにたまには良いかと、その誘いを受け入れ返信した。
僕と寮の友人たち7人と久し振りに夜遅くまでカラオケをして、楽しく過ごしていた。その中には、幼馴染みの遼一もいた。
そろそろお開きにしようかと、その場で解散し、それぞれの自宅に帰る途中の事。
「楽しかったな」
「うん。久しぶりに皆と遊んだーって感じ。遼一と2人で歩くのも、久しぶりだね?」
「だってお前、最近ずっと付き合い悪かったからな。誘いたくてもどうせ恋人優先だろう?だから、誘わなかった。」
と、遼一は少しふて腐れた顔をした。
「ゴメンね?気を使わせて…」
僕より背が高い遼一を見上げ謝ると、遼一は何故か顔を赤くして口元を押さえて目を逸らした。
「い、いや、そんな、別にいいんだ…。わりぃ…。」
慌てた様子の遼一に僕は思わず苦笑いをしてしまった。
遼一が、小腹が空いたからコンビニに付き合ってと言ってきたから付き合う事にした。
最初のコメントを投稿しよう!