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遼一 side
俺には好きな人がいる。
幼馴染みの、しかも男で――…。
俺が好きなのは奏多だと自覚したのは確か――…
あの時だった…。
奏多とは保育園から今の高校までいつも一緒だった。
家が隣だったから毎日当たり前のように一緒に遊んだ。
奏多は――…
成長するに従って、そんじょそこらの女よキレイになっていった―――…。
茶色くて柔らかい髪、白い肌、長い睫毛、くっきりとした二重瞼。俺より背が低くく、上目遣いで見てくる大きい瞳。
笑いかけられる度に
ちょっとした仕草にも
ドキドキするようになったのは何時からだろう―――…。
奏多は男なのに華奢で庇護欲?そんな感じで守ってやりたくなる。
でも、この感情がなんなのか分からずにいた。ましてや恋愛感情だなんて認められなかった。
だから―――…
難関の全寮制男子高校に入学して暫くしてから、男同士で恋愛してるヤツがかなりいることに偏見はないが驚いた。
今では見慣れた光景になっていた。が、当事者になるとは思わなかった。
奏多から『遼一が好き…』と放課後の教室で 告白された。
『いままで通り友達じゃダメか?』
俺がそういうと奏多は泣きそうなそれでいて笑って『忘れて…』と言って足早に教室を出て行った。
『いままで通り友達じゃダメか?』
そう言ってしまったのに ――…
あの日から奏多を意識してる。
自分の気持ちが分からなくて
モヤモヤする。
奏多が誰かとジャレついて肩を組んだり 誰かと楽しそうに会話をする姿を見る度 イライラする。
奏多と視線が絡み合う
目線を逸らさずまっすくに見つめてくる。
俺も逸らさず見つめる。
奏多を誰にも獲られたくない
そう思った。
なのに――――…。
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