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翁草の吐露2
気紛れで入った店の中は、主人の趣味で構成されているのだなとすぐに察した。統一されているようで、何処かちぐはぐなアンティークグッズが犇めき合っている。ちょうど客が自分以外居なかった所為だろう、耳を澄ませるとそれらがヒソヒソとお喋りしているのが聞こえるのではないかと空想してしまう。
「柄にもないな」
篝火は自嘲気味に小さく呟きながら、繊細なレースのテーブルセンターの上に置かれた本を何気なしに手に取った。懐かしい、ヒカルがよく読んでいた著作の題名をそっと撫でる。
「ヒカルちゃん」
会いたい。声が聞きたい。雛のように後を追ってきた現在の彼女は思春期真ッ只中、好きな物はもっと増えているだろう。来年のように、今年も遊びに来てくれるだろうか。
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