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「また一から下積みね。百永は?野球部行ってみる?」
「野球部……グラウンドに近づくのがハードルが高いというか」
「またハードルって。高校の時にも似たような台詞聞いたよ?」
「ねえ!野球部のマネージャーとか、どうですか?」
カフェテリアの入り口の手前で陽に焼けた大柄な男子学生数人が私と亜樹の目の前にチラシを差し出した。
「百永、ちょうどいいじゃん」
「えっ?ちょうどいいって?」
黒髪の、顔立ちのはっきりとした、やはり陽に焼けた爽やかな先輩が私の顔を見た。
「この子、野球部のマネージャーに興味はあるけど、グラウンドに近づくのがハードル高いなんて言ってたんですよ」
「じゃあ、俺らと一緒に行ったらいいじゃん。ねえ、君もどう?」
「私は剣道部入るんで」
きっぱりと断る亜樹に「野球部のマネも楽しいって」と食い下がる先輩に、また別の先輩が近づいた。
「その子、剣道部ツバつけてるから」
「慎二先輩!」
「なんだ、武藤の後輩かよ?」
「そう。剣道インターハイ出場経験者に野球部のマネージャーさせるわけにはいかないわけよ」
どうやら、西高剣道部の先輩らしい。私は面識無いけど、亜樹はよく知ってるっぽい。
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