2. 面接へ

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 音をほとんど立てずに開いたドアの外には、ロイヤルブルーの絨毯が敷かれたフロアが広がっていた。  照明は最低限のものに落とされているらしく、ちょっと薄暗い。  正面には受付用のひとり掛けサイズのカウンターがあって、その背後には半円形のちょっとしたスペースがある。半円の輪郭を作っている壁には、ドアが三つ並んでいた。 (ふぅん……)  設備はどれもが洗練された無駄のないデザインに、銀と白を基調とした色合いで、シャープでクリーンなイメージ。その代わりに、うっすら冷たい雰囲気もある。  で、エレベーターを出たはいいけど、カウンターには誰もいなくて、どうしたらいいのか迷った。 (ウェルカム感ないなぁ)  そうしたら、一番右端のドアが、やっぱり音もなく、スゥーッと開いた。  薄暗い中で、そのドアからだけ明るい光が漏れている。なんとなく、以前見た古いSF映画の、宇宙船のドアが開くところを連想してしまった。  夜の暗闇の中、謎の宇宙人がお迎えに来る、って(たぐい)のやつだ。  我ながら、あんまりいい連想じゃない。 (入れ、ってことでいいのかな)  あたしはおっかなびっくり進むと、ドアの前に立っておそるおそる内側を覗き込んだ。
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